海外公演    
Overseas tour

2006年 5月27日 マウントアイザ(1) / 9日目
朝シャワー浴びてると、コツン、コツンと、窓に小石が当る音がしました。外からふだ君が、手振り身振りでぼくを呼んでます。

「きとやん、カメラ、カメラ!
ワラビーが来てる!」

ふだ君たちが泊る棟は小さい丘を背にしていて、そこからワラビーが降りてくるようです。宿泊客が餌をくれるって知っているんかな?
午前中、獅子チームはスーパーへお土産の買出しに行きました。
5人で200ドル以上も使っちゃった。明日の朝食も含めてですが、買いすぎやで〜。
許斐の全快をお祈りしました。本人が一番悔しいんです。キースが泣き崩れました。ぼくも泣きそうになりました。みんな言葉にならない気持ちで一杯になり、無理して笑顔で見送りました。いつもにぎやかなメンバーが、今日だけは言葉少なめです。

(最後の公演は120%以上の力を出す!)
(絶対、成功させよう!)
(お客さんに楽しんでもらえる公演にしよう!)


みんな口には出してないけど、気持ちは一つでした。このWONDERBUSをコノミさんが企画し、ぼくらは選ばれました。WONDERBUSとは何か?

すこーんと晴れた空、照りつける強烈な日差し。ぼくらはオーストラリアの大空と大地の間で、しっかりと立っています。晴れ渡る空は、僕たちに「前へ、前へ。前へ歩け」と、僕たちに力を与えてるかのようでした。

ぼくらは、コノミさんの意思を継ぐ者たちです。大げさすぎかな?でも、それぐらいの気持ちでした。

みんなと一緒に旅をしてきて、お互いの個性をわかりあってきました。今、できることは
『自分たちができることを精一杯やる』です。それが許斐さんが一番願っていることでしょう。
ここで、ぼくらがしょんぼりしてても、許斐さんや観に来てくださる方々は喜んでくれません。元気に、たくさんの人と会えることを喜びとしよう。
「楽しくやろう!」と、気持ちをあらたにしました。
赤土のあちこちに、円錐状ににょきにょき地面から生えている塊がありました。

「これはね、蟻塚だよ。この高さまでになるのに、5・6年はかかる」
と、キース・パパが説明してくれました。その立ち居振る舞いから、まるで研究者か博士のようです。

と、その次の瞬間。
キース・パパがガシ、ガシ、ガシと蟻塚を蹴って壊しました。

うえー!とみんな驚いてのけぞりました。

キース・パパは、蟻が5・6年かかって作ったものを、あっさり破壊したのです。いつも紳士なキース・パパが豹変?!

「ほら、穴があるだろ?」
「あ、ほんと・・・」


キース・パパの新しい一面を見た瞬間でした。

マウント・アイザからすぐ近くのジュリアス湖に来ました。

後ほど、ここにはワニがいて、年に何回か噛まれる人がいるらしいことを知りますが、そんなことを知らないぼくたちは「綺麗な湖だ!」と、はしゃぎました。

やっぱり、ぼくたちは底抜けに明るいです!
シンシンが浮いてます。
隣りのムンダラ湖へ行くと、テレビ局のクルーが話し掛けてきました。

「CMで見たけど、
ひょっとしてWONDERBUS JAPANさん?一緒に写真を撮ってもいい?」

そう、ここマウントアイザでは、ぼくらが紹介されているCMが放映されているそうです。
ぼくらは、マウント・アイザのMEGA DAY OUTという一年に一回のお祭りに、参加します。これがWONDER BUSツアーの最終公演です。

ぼくらは、ちょっとした有名人だったりして?!
今日は土曜日です。朝、買い物に来たときはどの店も開いていたのに、午後にはほとんどが閉まってました。オーストラリア
の週末はホリデーで、お店は閉まってしまいます。

ファストフードしか開いておらず、ランチは、マクドかサブウェイかケンタッキーかの選択肢になりました。

(アメリカはこんなところまで進出してるか)


マクドに入りました。
獅子舞チームは、休むのはもったいないと、入場体験料が48ドルもする炭鉱ツアーへ向かいました。
そのツアーは、『ヘルメットにヘッドライト、全身黄色いスーツに着替えて、滑車エレベータで地下へ潜っていき・・・』というかなり本格的なものです。ところがスタート時間が決まっていて、行ったのが遅くて参加できませんでした。

智恵ちゃんが、大阪のおばちゃんよろしく、
「そこをなんとか!」とねばりましたが駄目でした。

「じゃ、博物館でも観ていくか」と若さまから提案があり、隣りの博物館へ行きました。ここで若さまのスーパー交渉術が披露されました。

「通常10ドル?団体なら7ドル?へーそうなんですか。団体を適用してもらってもいいですか?ども、ありがとうございます」

でも割引で満足しません。狙いは無料です。若さまは、『受付のおばちゃんと仲良くなって
無料を勝ち取る』作戦を展開しはじめました。

「ところで、私達は明日のMEGA DAY OUTに出演するWONDERBUS なんです。あ、CMで知ってる?そう日本から来たんです。鉱山博物館はマウント・アイザにたくさんあるようですね。どこの施設が充実していますか?あ、ここが一番。へー、そうなんですかー!あら、明日観にきてくださる?ありがとうございます!え、無料でもいい?本当ですか?じゃ、みんな、ささ、入って入って。
無料でいいってー!」

さすがでした。
市内からてくてく歩いて帰ってくると、モーテルの背にある小山がオレンジ色に染まっていました。

XXXX(フォーエックス)ビールの看板を発見!

エックスのポーズで写真撮影をしました。一人多かったので、XXXXX(ファイブエックス)です!
手前に街の灯りが点々とみえ、書き割りのような巨大な煙突が2本と、環状になった連山がマウントアイザの街を囲んでいます。

煙突から絶えることのない煙りがもくもく出て、風に流されています。

ぼくらの正面向こうに炭鉱の煙突が見えて、市内が一望できました。この眺めは、まるで映画のワンシーンのようでした。
夕日の近くは、オレンジ色や赤茶色で、その周りが薄い水色から端のほうにかけてどんどん濃い青色になり、本当の端っこは群青色になっていました。

なんて豊かな色!
これが本当の空の色か!

夕日が山の向こうに落ちてからも、夕焼けは続きました。
きっと山が高くて、地球の縁の下にはもぐってないからでしょう。天頂は、まだ水青色に染まっていて、広い空の中で白い点をぽちっと
見つけました。一番星です
一瞬でも目を逸らすと、空の様子は変わります。
濃い青からどんどん暗くなっていき、ふと気付いたら周りのみんな見えなくってなってきました。

ぼくたちは、ずっと夕日を、空を見つめていました。
黙っていても、一緒にいるみんなとこの気持ちをわかりあっている気がして、不思議な気分を味わいました。

一刻も逃したくないと眺めているのに、この時間はまるでずっと続くような気がしました。これが永遠に続くと思いました。

頭のなかでは何にも考えていません。

ただ空を見てるだけ。
それだけで幸せでした。

今夜こそは、と真剣なキョウヘイです。

20ドル以内という条件で、「
サンデーパフェを込みにして最高の組み合わせはどれか?」を、じっくり選んでいます。
周りの、やいのやいの言う声がぜんぜん聞こえていません。すごい集中力です。

別で追加料金を払えばいいんですが、キョウヘイはあくまでも<追加料金なし>にこだわっています。

果たして、サンデーパフェは大満足の味でした!しかし、やはり予算的にメインディッシュはイマイチになってしまいました。

サンデーパフェには満足してますが、メインには落ち込み、気分は半々という感じでした。それを見かねたみんなが、それぞれのメインを切り分けました。
結果、今日のキョウヘイの夕食は、一番豪華になりました!キョウヘイ、大満足です!

隣りのホールで、チャリティ・合コンが行われていました。

ぼくたちは、ここ2・3日移動ばかりで本番をやっておらず、ラスト公演の前に、できれば
南中ソーラン節だけでもやってみたいと思っていました。そこで若さまの出番です。

若さまが交渉へ行って5分も経たずに、戻ってきました。

「OKが出たよ。みんな、すぐ着替えて」

さすが、若さま!

「やるぞ、みんなー!」
「おー!」

南中ソーラン節を披露しました。ウケはイマイチな感じでしたが、お客さんの目的は婚活です。

南中ソーラン節のあと、特設ステージの
ロデオ・マシーンに乗ることができました。期待の注目は、やっぱりキースです。抜群の身体能力で、きっと長時間乗りこなすでしょう。

が、意外にあっさり落とされてしまいました。瞬殺でした。きっと操作する側に、手加減がなかったんでしょう。

ロデオは、キョウヘイ→キース→ケンちゃん→リエちゃんと続き、最後にシンシンでした。このシンシンが、何度も振り落とされそうになりながら落ちない。きゃーきゃー言いながらしがみついて、結構長く乗りこなしてました。

最後は腰が抜けたかのように、ばったりと落ちましたが、シンシン、よく頑張った!


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