世界遺産 熊野古道    
World Heritage Kumanokodou

2018年 9月23日 高野山〜大股・野迫川
6:10 起床
隣りのアジアの男子2人組がゴソゴソ起きる音がする。行くか、行かないか相談している感じや。

6:30 朝勤
入り口で塗香を手に取る。これまで日蓮宗の宿坊に泊まって朝勤を体験したことあるけど、真言宗のはなんかちゃううんやろか?
若めのお坊さんが準備し、80歳を超えたご当主が入ってきた。

印を結びながら、香が入った容器を開けて閉める。真言を唱える。読経は激しくない。あっさりした感じでふわっと始まって、ふわっと終わった。あとは法話を聞いて終了。

7:30 朝食
朝食は、広間に集まった。
隣りはイタリア人のカップル。お箸を苦心しながら使って食べていた。がんもどきを残していた。

昔の高野山のDVDを観ながら朝食をいただき、昭和初期の賑わってた様子に驚いた。高野参りは、当時、ありがたくて、そして流行やったんや。

これでも外国人率が低い宿坊。
日本人は中高年のご夫婦が多かった。
8:27 宿坊を出る

昨夜、観光案内所に立ち寄ったときに聞かされた「通行禁止」が頭にあり、熊野古道100qを出発するぞー!というより、ひょっとしたらぜんぜん行けんかもしれん、初日から「はい、終了〜」かもしれん、という不安のほうが大きかった。

ニューヤマザキデイリーストアで、昼食のおにぎりを買う。

8:38 熊野古道の小辺路 出発

ちょっと進むとようやく通行止めの看板が出てきた。これかぁ。しかし、これじゃ車両が通行止めのようで、歩きはOKっぽいな。

ひょっとしたらそういうこと?

ほんまの通行止めやったらがっちりロープなり、柵とかをしとうはずやもんな。行けるんちゃううん?
歩き始めて30分。もう四方八方に山に囲まれてる。これがいつしか、一方は海になることがあるんか?1週間後になってるとええな!

しかし、ほんま見渡す限り山と谷やで!
いくつ山を越えていかなあかんねん!

ほんまに行けるんか?
わくわくする!
まぁ、この程度の倒木ならよくあることや。
やはり"世界遺産"となったから、慎重になっとんやろな。

一応やっぱ"世界遺産"やから、世界中から観光客が来るもんな。どこぞの国の人に「ぜんぜん整備できてへんやん!」と文句を言われたらかなわんのやろう。

慎重な判断なんやろう。
とはいえちょっと過敏な反応かな。慎重すぎる判断な気がする。
いろんな種類のきのこがめちゃくちゃ生えとう。
これ、調べてったら、ひょっとしたら「新種発見!」ちゅうことがあるんとちゅううん?

あ〜、籠持って拾っていけばよかったかもしれん。

下って下って、あ、なんか橋が見えてきた。川がある。

御殿川って、あの空海が眠る御廟の前に流れてた川やん!お〜、その上流かぁ。あっこにつながっとんのかぁ。

御殿川、覚えておこう。

ちょっとした集落がある。大滝の集落や。

どうやって暮らしとんやろ?
やっぱ林業かな?
どんな暮らしをしとんやろ?

家の前を通っていく。自宅の道が熊野古道かぁ。

広場がある。
ちょっとした休憩ができるが、進もう。
松茸が採れるようやな。「ここは・・・、勝手に採ったら・・・」の看板があちこちにあった。

スカイラインに出た。

ツーリングバイクが時々通っていく。

「この先 小辺路 歩行者あり」の看板。

ぼくのことでっせー!(笑)
気を付けてやー!(笑)

10:55 途中、険しい斜面に開けたところがあり、整然と植林がされていた。軽トラが停まってて、おじいちゃんがちょうど仕事を終えて、あがってきた。

高野槙(高野山では霊木とされている、仏前に供える花の代用でもあるらしい)を育てて、この時期は忙しいらしい。もう歳やからやめたいが・・・と言ってた。

「あっちに見えるのが〇〇山、あれが大峰山」と教えてくれた。
え!大峰山?6月に登ってきました!
「そしたら一度は奥駆けをしなさい」と言われた。
思ったよりスカイラインのロードが長かった。
太陽の反射照りがきつい。

水ヶ峯入り口が見えてきた。やった日陰や。
こんなところに宿とかの集落があったんかぁ。
ほんまかいな、と思うが、ほんまや。

明治中期が最盛期で、8軒も宿屋があったと書いてある。そして1952年5月に閉じたらしい。60〜70年前の話しか。

せやけど、こんな山の上で、水とか、下水とかどないしたんやろ?風呂はあったんかな?
11:43 昼食

腹減った!
景色はええし、ちょっとした日陰がある。ここで昼食にしよう!

今日は暑すぎず、標高が上がっても寒すぎず、Tシャツ1枚でちょうどええ気候や。気持ちええなぁ。

ハイキング日和!
12:17 東屋

え?誰か住んでる?!
完全に自分の長期滞在の基地にしてる。

そして主(あるじ)はおらん。どっか買い出しに行っとんやろか?

別に盗みに入っているんやなくて、(そもそもここは公共の場所やし!)、ちょっと歴史のビューポイントからの景色を見して。
林道を歩いたり、登山道を歩いたり。
くねくね木が曲がっているのは、ここら辺りも雪深いということか。
13:14 分岐点
えっと、このまま車道を行くのが、今日のお宿のかわらび荘への近道のようや。しかし、通行禁止の看板が道路の真ん中にあり、どどーんと遮っている。

そして真ん中は上に上がっていく道や。上に上がる???なんで?

左が熊野古道っぽい。大股へ行けるようや。

えーっとどれが正解?

かわらび荘へは遠回りかもしれんが、大股を目指そう。
道路に出た!

13:38 大股


一応、今日のゴールの大股に到着〜!
ここから今日泊まる「かわらび荘」まで歩く。

上りの車道が長い!
途中で一回、日陰で小休止。あら、思ってたより通り。まだか?

思ってたよりロードが長かった。着いたーーー!

14:02 かわらび荘

おっちゃん2人が雑談をしていた。

「すんません、予約してた木藤ですが・・・」

「あー、はい。えっと、部屋はあちらです。一回外に出て、向こうの玄関に回ってもらっていいですか?」

一人が立ち上がって案内してくれた。

この人が宿屋のご主人さんか?
それとももう一人のほうか?
それとも二人とも釣り客で、ここの主人は今たまたまいないだけか?
洗濯させてもらお。

「洗濯機を使わせてもらっていいですか?」
「どうぞ。洗剤もどうぞ」
「ありがとうございます」

「田中陽希が来てる。グレートトラバースですね!今は3の真っ最中ですよね。2か月前に来たばっかりなんですね!」

「やっぱり有名なんやね。高野山で2日間も足止めになりました。おばちゃん、予約の電話してキャンセルの電話してもう2日連続ですよって言うたましたわ」

「前にも来たことがあって、今年は伯母子岳から護摩壇山へ行くって言うてましたよ」

NHKのスタッフは、ここには泊まらず「ホテルのせ川」に泊まってたらしい。長期ロケやから、演者さんとちゃんと距離を取ってるんやな。

近所を散策。
かわらび荘にお風呂はあるが、せっかくやから温泉へ行こう。

タイヤがパンクしてるチャリンコを借りて、キコキコ漕いで15分ほど。川の音だけが響き、気持ちええ。
野迫川温泉 強アルカリ温泉。

入浴料は600円で、200円の割引券を使って400円。美人湯でお肌がつるつるや。

 ☆ ☆ ☆

今日のまとめ。

高野山〜大股 16.8km
大股〜かわらび荘(野迫川) 1.6km


高野山の宿坊から野迫川のかわらび荘まで
18.4qを5時間半。道は、倒木があったがチェーンソーでカットされていて、通行止めにするレベルではなかった。
18:00 夕食。

ご主人が狩猟した猪。猪鍋をいただく。野菜を入れて、途中でうどんではなくひや麦を投入。最後の締めには、おじやを作ってもらってお腹いっぱい!

夏の台風以降、ぼくが初めてのハイカーらしい。外国人やグループ客の予約はすべてキャンセルになったらしい。高野山の観光局が言う「小辺路全面通行止め」は営業妨害に近い。


盆地のせいか夜でも25℃。
ラッキー、流れ星が見えた!

民宿とは思えないふかふかの布団で眠りについた。

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